まず設問が問うことを読む
自己紹介書で手が止まるいちばんの理由は、書きたい話を先に決めて設問を後から見ることです。設問はたいてい、会社が確かめたい能力や姿勢を遠回しに問うています。「困難を乗り越えた経験」は問題への向き合い方を、「協働の経験」は対立の扱い方と担った役割を、「志望動機」はこの仕事をどれだけ理解しているかを問うことが多いものです。設問を読んで「この質問で何を知りたいのか」を一行で書き出してから題材を選ぶと、文章の方向がぶれません。設問が二つのことを同時に問うている場合、たとえば経験とそこから学んだことをあわせて問うなら、両方に答えたかも最後に確かめます。
一つの設問に一つの経験
一つの設問の中に複数の経験を並べると、どれも深く伝わりません。設問が問う力がいちばんよく表れる経験を一つ選び、その中で自分が判断し行動した部分を詳しく書くほうがはるかに説得力があります。題材を選ぶときは、成果の大きさより自分の役割がはっきりしているかを先に見ます。チームの大きな成果でも自分のしたことがあいまいなら弱く、小さな仕事でも自分の判断で結果が変わったなら良い材料です。同じ経験を複数の設問で使い回さないよう、経験の一覧を前もって作っておくと便利です。一覧には経験ごとに示せる力を一つ二つ書いておくと、設問と組み合わせやすくなります。
状況・課題・行動・結果で整理する
経験を書く文章は、次の四つの段階で整理すると読み手が流れを追いやすくなります。このうち最も分量を割くべきなのは行動です。状況の説明が長くなると、肝心の自分がしたことが埋もれがちです。最後に、その経験から学んだことと、応募職種でそれをどう生かすかを一、二文でつなげます。
- 状況:いつ、どんな条件だったかを短く
- 課題:解決すべき問題と自分の役割
- 行動:何をなぜそうしたのかを具体的に
- 結果:何が変わり、何を学んだか
結論を最初の文に置く
担当者は設問ごとの最初の文を見て、読み進めるかどうかを決めることが少なくありません。だから段落の最初の文で、この経験が何を示すのかを先に明らかにするのがよいでしょう。たとえば「私は問題が起きると、記録で原因を確かめてから動きます」のように主張を先に書き、その根拠として経験を続けます。設問ごとに短い見出しを付ける方法も要点を早く伝えるのに役立ちますが、見出しが大げさな文句にならないよう本文と合わせる必要があります。
志望動機は会社をほめることではない
志望動機の設問で会社の規模や評判をほめる文章は誰にでも書けるので、記憶に残りません。代わりに、この職務の仕事を自分がどう理解しているか、自分の経験のどの部分がその仕事につながるか、入社後に何をしてみたいかを書きます。会社の公開資料や求人、事業紹介を読み、職務に関係する内容を根拠に挙げると準備した跡が伝わります。確かめていないうわさや推測は根拠にしません。志望動機と入社後の計画はつながっている必要があります。この仕事をしたい理由と入社後にしたいことがばらばらだと、文章全体の説得力が下がります。
字数制限への対処
字数制限があるときは、空白を含むかどうかなど数え方もあわせて確認します。最初は制限を気にせず多めに書き、あとで削るほうが中身が抜けにくくなります。削るときは状況説明と飾りの言葉から減らし、行動と結果は残します。制限を大きく下回ると熱意がないように見えることもあるので制限に近づけますが、同じことを繰り返して分量を増やしてはいけません。応募フォームに貼り付けたあと、改行や記号が崩れていないかも確かめます。
よくある失敗と書き直しの順序
下書きを書いたら一日ほど置いてから読み直すと、不自然なところがよく見えます。できればほかの人に読んでもらい、「この文章で私について何がわかったか」を聞いてみてください。意図した答えが返ってこなければ、要点がぼやけています。ネット上の合格例文や他人の文章を写すと表現が重なってすぐにわかり、面接で説明できない文になります。文章を自動で作る道具を使っても、自分の経験と言葉で書き直す必要があります。
- 別の会社の名前や前の応募先の文が残っている
- 経験なしに「誠実だ」「責任感が強い」とだけ書いた
- 設問と違う話を長々と書いた
- 面接で説明できない誇張が入っている
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